臨床検査技師

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補体

⬛概要

補体は、免疫において補助的な役割を果たす蛋白質の群である。この蛋白質にはそれぞれ‘C’*1から始まる名前が付けられている。



⬛補体の機能

 細胞溶解:C5b6789(膜攻撃複合体)
 オプソニン:C3b
 好中球走化:C3a、C4a、C5a



⬛補体の活性化

補体には、それぞれの分子が連鎖的に活性化され、上記の補体の機能を担う分子を生成する経路が三つある。*2
古典経路
C1が抗体(IgG1,IgG2,IgG3,IgM)のFc部に結合することで活性化する。*3
カルシウムイオンとマグネシウムイオンを必要とする。

別経路(副経路)
C3が加水分解されて生じたC3bが、病原体と結合することで活性化する。
マグネシウムイオンを必要とする。

レクチン経路
マンノースとレクチンが結合することで活性化する。

各経路で活性化が進められる途中で、オプソニン作用のあるC3bや、好中球走化因子のC3a・C4a・C5aが生成される。そして三つの経路とも最終的に、C5bからC9が結合したC5b6789(膜攻撃複合体=Membrane Attack Complex)という分子を形成して、病原体の細胞膜に穴を開ける(細胞溶解)。





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*1:Complement(=補体)のC

*2:凝固カスケード外因系・内因系・共通系のようなイメージ

*3:抗体依存性