臨床検査技師

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赤血球沈降速度(ESR)

⬛概要

Erythrocyte Sedimentation Rate.
血液を細い管の中に引き入れ、一定の時間(1時間、2時間)で赤血球が何mm沈降するかをみる検査。
炎症などの指標として用いられる。



⬛原理

赤血球沈降速度に影響を与える要素は大きく二つに分けられる。


一つめは、血液の粘稠度。

影響を与
える因子
影響の与え方
RBC大きければ大きいほど、
多ければ多いほど、
粘稠度は大きくなる傾向がある。
Proteinアミノ酸の鎖が長ければ長いほど、
多ければ多いほど、
粘稠度は大きくなる傾向がある。

粘稠度が大きいほど、ESRは遅延する。


二つめは、血漿中に露出している電荷

赤血球の表面はシアル酸によって負に帯電している。
 
なので、正に帯電している物質が多い場合、もしくは、負に帯電している物質が少ない場合は、ESRは促進する。
また、正に帯電している物質が少ない場合、もしくは、負に帯電している物質が多い場合は、ESRは遅延する。

負に帯電:赤血球(RBC)、アルブミン(Alb)
正に帯電:CRPフィブリノゲン(Fbg)、免疫グロブリン(Ig)



⬛基準値

正常
 男:2~10mm/h
 女:3~15mm/h


亢進する疾患など

関係物質疾患など
RBC妊娠(血漿が増えるため)
再生不良性貧血
CRP炎症(急性心筋梗塞膠原病を含む)
Ig↑感染症
多発性骨髄腫
膠原病
その他採血管の傾斜
振動
抗凝固剤不足*1


遅延する疾患など

関係物質疾患など
RBC真性多血症
脱水(血漿が減るためRBCが高濃度になる)
Alb↑アルブミン血症
Fbg↓DIC(凝固亢進によるFbg消費のため)





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*1:私の考えでは、水溶液中で負に荷電する3.8%のクエン酸が減り、同じく負に荷電する赤血球との斥力が減るので、沈降が亢進する。